動画がたどった変換の経緯

今回は解像度の話ではなく、フレームレートに関わる内容を少し。

以前、購入したDVDが「PALマスター版を使用したNTSC版のDVD」だったので
少しがっかりしたことがあります。
映像は見る媒体によって変換作業が必要になります。
普段何気なくTVで見ていた映画のDVDも、フィルムからTV用に変換されたものです。
この、別の媒体用に動画を変換するという作業にも様々な考え方・やり方があり、
それによって当然結果も微妙に異なります。

PAL規格は、ドイツで開発され、ヨーロッパ、ASEAN諸国等で利用されるアナログ規格で、
1秒間を25コマで再現します。
一方、映画のフィルムは1秒間に24コマです。
両者には、1秒間に1コマの差があるのですが、フィルムからPAL版への変換は
「1:1」で行なうことが多かったようです。
つまり両者の1コマを同じものとする、という考え方での変換ですから、再生速度が変わります。
PALの24コマ目でフィルムの1秒分は終わり、25コマ目は、本来フィルムの
2秒目の最初のコマが食い込んできてしまいます。

両者の差は4%です。
(24÷25=0.96)

オリジナルの長さが135分の映画があるとすれば、4%分早回しされた
約129分のPAL版DVDが完成します。
音声も早い分ピッチが上がり、オリジナルと比べれば声質や音楽も
若干高くなっています。
この4%の差は、PALへの変換においては、誤差の範囲内という考え方が
一般的であったようです。昨今の状況では、この誤差は大きく感じられるかも
しれませんが、レコードやカセットテープやビデオテープといったアナログの時代では
許容範囲という考え方は当然だったのかもしれません。
ちなみに、フィルムから直接NTSCへ変換する場合はさすがに1:1の考え方では
誤差が大きすぎるため、変換時に補間されほぼ誤差はありません。

「PALマスター版を使用したNTSC版のDVD」というのは、大まかに考えると
・オリジナルフィルム(マスター)
  ↓
・1:1変換の考えで、4%分再生速度が早いPAL版に
  ↓
・PAL版をマスター(この4%分短い時間が正しい)としてNTSCへ変換
という経緯をたどったものだということになります。

版権元が変わったり再販されるときに、オリジナルフィルムから
直接NTSC版が作成されたりすることもよくあるので、
同じ映画でも、内容はカットされていないのに総時間数が異なるDVDが
世の中に普通に流通しています。

直接PALという規格に遭遇する機会はあまりないと思いますが、
このように間接的には多くの方の目に触れているのかもしれません。

(tomoyama)